あとがき

 

 スカイハイ文庫さんでは初めまして。霜月りつです。
 このたび、「漫画家の明石先生は実は妖怪でした」という作品を書かせていただきました。

 
「漫画家の明石先生は実は妖怪でした」………。

 タイトルですべて説明してます、いわゆる出オチです。その通り、一話目で明石先生が妖怪であることはわかってしまいます。というか、本人が気づいていないだけで、たぶん、周りに人には「明石先生っておかしい」と思われているんです。でも漫画家だから「変わっているのは仕方ないのかな」と思われているのかも。というと、世の中の漫画家の方すべてに申し訳ないのですが。
 このお話は妖怪が漫画描いてて、他の妖怪たちの悩みや相談ごとにのる、というワンアイデアだけでできたものです。でもそこに篠崎くんやゆずが加わって、楽しいバディものになりました。明石先生一人だけだったら、今頃、何もできなくて倒れ伏していたかもしれません。
  明石先生は最初はもっと無頼なイメージだったんですが、書いていくうちになんだかたおやかな美人さんになってしまいました。これは多分に編集のH女史の好みが反映されていると思います。一話が書きあがったとき、「かわいいかわいい」と喜んでいただけました。
  篠崎くんの方はもう少しクールで不愛想なイメージだったんですが、ずいぶんやんちゃで熱血な人になってしまいました。明石先生の力でパワーアップします。変身ヒーローものだったのか、これ。
  いわゆる書いていくうちにキャラクターがどんどん勝手に動き出してしまうという、作家にとっては嬉しい反面、コントロールが効かなくて大変というアレアレ、アレですわ。
  事実、完成までに予定していたスケジュールを大幅にオーバーしてしまいました。ほんっとギリギリまで修正してました。入稿日を聞いたらびっくりしますよ、同人誌か! って。
  だってH女史が厳しいんですもの。作品のかなり細かいところまで見ていただいて、そして誤字の修正も一文字も許すまじという修正につぐ修正。これでもしまだ誤字があったらぜひ教えてください。私のほかの作品の大量の誤字に比べてほとんどつぶされていると思います。
  そんなふうに編集のH女史と二人三脚でこの作品が仕上がりました。そして装丁は新井テル子さんにお願いできました。とっても美しい明石先生とかっこいい篠崎くん、愛らしいゆず、麗しい胡洞。表紙のカラーも何色もパターンを考えてくださって、最終的に泣きたいほど美しい夕焼けに。
  もう売れる予感しかない、という装丁です。
  あとがきから読む方もいると思いますのでここで宣言しておきますが、これきっと面白いですから。読み返して面白かったですから、わたしが。
  さくっと読めちゃえると思いますが、この作品の中のひとつでも、あなたの心の片隅にそっと置いてもらえると嬉しいです。
  これからも明石先生や篠崎くん、ゆずの活躍を楽しみにしていてくださいね。
 
 

霜月りつ