あとがき

 

 この作品は僕が不眠で悩んでいるときに書いたものです。なかなか寝つかれずベッドの上で煩悶していると、ある夜、夢と眠りをめぐる物語のアイデアが次々と脳裏に浮かんで来て、それを小説にしました。
不眠の悩みまで本にして売ってしまうのですから、いやー、人間ってしぶといものですね。あるいは僕がとりわけ厚顔無恥なだけでしょうか。
 そんなわけで、夜市八彦と玉沢茜及びその他のキャラクター達は当時不眠で苦しんでいた僕の体験と願望から生まれたものです。もし、お読み頂いて、キャラクター達にリアリティーや親しみを感じて頂けたなら、嬉しい限りです。
 この作品は実に多くの方々の助けによって世に出ることになりました。この本の出版に関わったすべての人に深い感謝の念をささげたいと思います。
 とりわけ、素晴らしい画力で僕の不可解極まりない想像の世界を見事に描き切って下さったイラストレーターのヤマウチシズさん。それに、数々の問題をはらんだ原稿を鮮やかにソフィスティケートして下さった編集者の長谷川三希子さんと川武當志乃さんには厚く御礼申し上げたいです。お三方のプロとしてのすごさに僕は驚愕させられ、身が引き締まる思いでした。
 そして最大限の感謝の気持ちは今この文章を読んで下さっている読者の皆様に捧げたいと思います。あなたがいなければ、この本が出版されることはありませんでした。そして、小説家『空高志』としての一歩を僕が踏み出せたのは間違いなくあなたのおかげです。本当に心から感謝申し上げます。
 この先も僕はつつしんで小説を書き続けていくつもりです。また、こうしてお会いできることを願って、パソコンのキーボードを今夜も叩き続けます。
 それでは、いつかまたどこかで!

空 高志