あとがき

 

 このページをご覧いただき、誠にありがとうございます。葛来奈都です。
 3巻目のお話をいただいた時、「えぇぇ!?」と声をあげてしまうほど驚きました。
 再びこんな経験ができたのも1巻と2巻を取り扱ってくださった書店の皆様や関係者の皆様。そして応援してくださった皆様のおかげです。中には作品についてコメントをくれる方もいらっしゃって、とても励みになっております。この場を借りてお礼申し上げます。
 
 
 今回収録されている章は私が22〜24歳の頃にエブリスタで書かせていただいたものになります。
 ここから悟と統吾の学年が上がり、私自身も学生から社会人となりました。
 エブリスタで公開していた当時も2巻収録分で完結させていたのですが、「大学1年生」という短い期間では回収できなかった伏線があったことと、何より作者である私が書くことが楽しすぎて、新社会人として社会の荒波に揉まれながらもまた再開させていただきました。
 
 今作のタイトル「柄沢悟と滝峰村の逢魔時」からわかりますように、メインの舞台は悟の故郷「滝峰村」になります。
 ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私は北海道出身です。
 現在は札幌市に住んでおりますが、元々は胆振(いぶり)地方にある小さな村で暮らしていました。
 今は合併したので「村」ではなくなってしまいましたが、当時の人口は約1500人。小学校のクラスメイトは8人。実家の正面は畑。裏には川。周りは木。そんな山間にある村が私の故郷です。
 「滝峰村」はそこをモデルにしています。特典ペーパー含め、滝峰村の自然をたくさん書きました。中にはほぼ実在通りのところもあるので、「北海道にはこんな場所があるんだ」と少しでも興味を持っていただけたら幸いです。
 
 さて、悟と統吾もついに20歳になります。彼らも1〜2巻でいろんな出会いと別れを経験し、より優しく、より逞しくなりました。また、前半の「滝峰村編」は悟と統吾と一緒に困難を乗り越えた「プラス1」の章であります。このように2年生以降は悟と統吾以外のキャラクターにも焦点をあてていますので、その辺りもご注目していただけたら嬉しいです。
 ただ、今作は書籍化するにあたり、エブリスタで公開している「2年生 前期編」とは若干内容を変えているところがありますのでご了承ください。
 余談ですがエブリスタ版の「花屋の倅と寺息子」はついに1000ページを超えてしまいました。まだまだ書いていくつもりなので、これからも悟と統吾をどうぞよろしくお願い致します。
 
 
 最後になりますが、今回も丁寧かつ親切にご指導してくれた長谷川三希子様はじめ編集者の皆様。デザイン、組版、校正などをやってくれた出版関係者の皆様や印刷会社様。1巻でキャラクター原案とキャラクターデザインをしてくださったvient様。そして2巻に引き続きイラストを担当してくださった藤村ゆかこ様。今回も大変お世話になりました。心より感謝致します。
 また、そっと応援してくれる勤め先、家族、友人たち。北海道の美しい自然に囲まれた故郷と、幼少期から優しく見守ってくれた故郷の人たち。私に「花屋」の魅力を教えてくださった太田生花店様。いつも励ましてくれるスカイハイ文庫とエブリスタの作家仲間たち。拙著を読んでくださった皆様……皆様の支えがあったから、こうしてまた頑張ることができました。どうもありがとうございました。
 そして私の思いがいっぱい詰まったこの物語が、遠い空の上にいる母親にも届いていますように。

 

葛来奈都