この度は、【図書館は、いつも静かに騒がしい】あとがきページへアクセスいただき、誠にありがとうございます。作者の端島凛と申します。
 
　本の帯や紹介文でご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、私は以前、公共図書館で働いておりました。残念ながら体を壊して退職してしまったのですが、図書館で過ごした日々は、私にとって今も大切な思い出です。
 
　図書館員――というと、静かな空間で本の返却、貸出をする仕事。そんな優雅なイメージを持たれることがあります。私自身も、働くまでは同じように考えておりました。
ですが面接の際、採用担当者からこんな話をされたのです。
「図書館の仕事は、一般的なイメージとは正反対だと思って下さい。そのうえで聞きたいのですが、端島さんは体力に自信がありますか？」
　――そう、図書館の仕事は体力勝負。
　重い本を持ち運び、階段を上り下りして棚に戻す。その動きは、負荷をかけてスクワットをするのと大差ありません。まぎれもない、肉体労働なのです。
　今度図書館を訪れた際には、少しだけ彼らの働きぶりに注目してみて下さい。きっと、想像以上に動き回っているはずですよ。
 
　この本は、ある意味で私小説であるといえるでしょう。もちろん、物語はフィクションではありますが、根底にあるのは私自身の経験なのです。ですから、どう表現するのか、どこまで書くべきか……と悩む場面も非常に多くありました。思い入れが強すぎて、なかなか客観的になれなかったのです。
　そして、元図書館員という立場から物語を書くことに、烏滸がましさや不安も感じました。けれど、「図書館って、こんなに楽しい場所なんだよ！」という気持ちを多く人に伝えたくて、この作品の執筆を決めたのです。
　あなたがこの物語を読んで、図書館について少しでも興味を持っていただけたのなら、こんなに嬉しいことはありません。図書館はいつでもあなたを待っています。気軽に足を運んで下さいね。
 
　最後に。
　本作の刊行に伴い、ご尽力いただいた出版関係者のみなさま。
　素敵なイラストで作品に華を添えてくれた、しわすだ様。
　驚くべき発想力と個性で、感銘を与え続けてくれた某図書館スタッフのみなさま。
　温かな言葉をくれた作家仲間。家族。友人たち。
　そして、この作品を手に取って下さった読者さまへ。
　ありったけの感謝と愛情を込めて、この場をお借りし厚く御礼申し上げます。

端島 凛