ご無沙汰しております。葛来奈都です。
昨年(2016年)の9月に1巻が発売し、再びこのような貴重な経験ができるとは思いませんでした。これも拙著を読んでくれた読者の方々と取り扱ってくださった書店様のおかげです。この場を借りてお礼申し上げます。
そして前回あれだけ長いあとがきを書いたのにもかかわらず、またこうしてこのページを開いていただき、ありがとうございます。
さて、2巻にはエブリスタで書いた「1年生後期編」が収録されております。
これは今からおよそ4年前……大学4年生の秋頃から卒業直前までの期間で書きました。この頃は就職活動を終え、卒業論文にラストスパートをかけながら、同時に社会福祉士の試験勉強をしていたと思います。
(こんなことをしながら結果的に1年間で2冊分書いていたので友人には引かれました)
卒業論文のテーマは「死別悲嘆からの回復」だったので、当時はひたすら悲嘆学に関する文献を読んでいました。しかし、秋頃になると自分の研究について結論を出さなければなりません。大切な人が死んだ悲しみの中で遺された人はどう生きるか……そういったことを常に考えている時期でもありました。
そんな私とシンクロするように、悟や統吾にも変化がありました。人を傷つける相手に怒ったり、悲しみや自分の無力さに泣いたりもしました。しかし、悩みながらも彼らは問題に立ち向かい、彼らなりの答えを導き出していきます。
そういうこともありまして、今回悟と統吾はいろんな出会いと別れを経験します。また、今作は統吾がメインです。「ビビりなのにどうして彼はこんなに頑張るのか」ということに着目しながら物語は展開します。しかし、悟も彼にしかできない役目を果たしてくれました。1巻とはまた違った印象になるかもしれませんが、この物語の続きを本にすることができて光栄に思っております。
ただ、当初は1月が発売予定だったのに延期になってしまい、楽しみにしていただいた方や書店様には大変ご迷惑をおかけして申し訳ございませんでした。
しかし、出版関係者様が迅速に動いてくれたことによりここまでたどり着くことができました。担当編集者の長谷川三希子様をはじめ、デザイン、校正、組版などやっていただいた出版関係者の皆様や印刷会社様 。また、1巻でイラストとキャラクター原案を担当してくださったvient様、2巻のイラストを引き継いでくださった藤村ゆかこ様には、心から感謝しております。
そして再び挑戦する私の背中を押してくれた勤め先。そっと見守ってくれた家族、親戚、故郷の方々。〆切ひとつ乗り越えるたびに遊んでくれた友人たち。常に励ましてくれたスカイハイ文庫とエブリスタの作家仲間。中学生の時に職業体験をさせていただき、私に「花屋」という温かく素敵なものを教えてくださった太田生花店様。何よりもこの作品を読んでくれた皆様……本当に一人ではここまで来ることができませんでした。ありがとうございました。
とにかくがむしゃらにやってきた1巻でしたが、2巻はプレッシャーと戦いつつも自分自身の体験によって感じてきた淋しさ、悲しさ、優しさ……それを通じて導き出した「私の答え」を見つけてもらえたら、そして、霊が視えるという彼らの「非日常的な日常生活」で、少しでも楽しんでくれたら……そう思いながら書きました。
学生時代に書いたのはここまでですが、相変わらずエブリスタで物語の続きを書いていますので、今後とも悟と統吾の成長を見守っていただけたら幸いです。
母親のために書いていたはずが、いつの間にかこんなところまで来てしまいました。
どうかこの物語に託した私の思いが、遠い空の上にいる彼女にも届いていますように。
葛来奈都