あとがき

 
 

 ご無沙汰しております。葛来奈都です。
 今回もこちらのページまでご覧いただきありがとうございます。
 
 さて、「花屋の倅と寺息子」もついに5巻目となりました。
 2年生冬編。そして第1シーズン完結です。
「完結」と聞いて驚かれた方もいるようですが、私からしてみればここまでたどり着けたことのほうがびっくりしているのです。
 エブリスタで収録された章を書いたのがちょうど3年前。1巻のお話をいただくほんの3か月前です。つまり、1巻のお話をいただいた頃からもうすでにこうなることは決まっていました。あとはここまで書き切れるか。これまでそのプレッシャーとずっと戦ってきたので心底ホッとしていると同時に、拙著を読んでくれた方や応援してくれたみなさんにはとても感謝しております。改めてお礼申し上げます。
 
 実はエブリスタで書いていた時も一旦ここで完結させるつもりでいました。彼らが再スタートできるように一回区切ったというのが正しいかもしれません。とにかく集大成のつもりで書きました。
 ということで今作は5章しか入っていないのにかなりのボリュームがあります。ラスト2章分が長いのです。4巻の「種岡亮太と群青」より長いです。それくらい悟と統吾は頑張りました。いっぱい怒って、いっぱい泣いて、それでも困難に立ち向かう彼らの勇姿をどうか見てあげてください。
 
 それにしても悟は随分と丸くなりましたよね。表紙の笑顔を見た時、「彼もこんな表情できるようになったのか」としみじみしました。もう10年も使っているキャラクターなのですが、「主人公の兄」から「主人公」になり、そしてここまで逞しく、優しい青年に成長してくれました。彼はいい意味で変わってくれたと思います。
それと今回久々に悟と美波の章があります。1巻からずっと「くっつかないのか」と言われてきた彼らですので少しは進展しているといいのですが……はたしてどうなるのでしょうか。そちらも合わせて見守っていただければと思います。
(まあ、悟と美波よりどうにかしなければいけないコンビもいるんですけどね)
 
 一方、悟と比べて統吾は初期設定を変えて以降、最後までブレないでいてくれました。5巻はそんな統吾の強さと優しさを全面的に出した話になります。悲しい話もございますが彼の魅力が少しでも届けば幸いです。
 ちなみに「夜間近づきたくない建物ランキング堂々1位(彼調べ)」に君臨する場所にお泊りする話もあります。どうなる統吾。こちらは私の三本指に入るくらいお気に入りの章ですので、楽しんでくれたら嬉しいです。
 
 最後になりましたが、今回も長谷川三希子様をはじめとした編集部の皆様。デザイン、組版、校正などをやってくれた出版関係者の皆様や印刷会社様。キャラクター原案を担当してくださったvient様。素敵なイラストを描いてくださった藤村ゆかこ様には大変お世話になりました。特に今年は結婚式というライフイベントがあったのでスケジュール等調整していただきとても助かりました。
 また、いつも優しく見守ってくれている家族、友人たち。帰省するたびに温かい言葉をかけてくれる故郷の方々。花屋のモデルを公認してくれたうえ、応援してくれる太田生花店様。私のことを支えてくれる作家仲間の皆様。この物語を読んでくれた皆様……本当にありがとうございました。
 
 亡き母に何か1つでも胸を張れるものを届けたくてここまで来ました。こうして区切りがつくところまでたどり着くことができて誇らしく思います。
 次に描くのは彼らの物語か。はたまたまったく違う物語か。私自身もわかりませんが創作活動はまだまだ続けたいと思っております。
 そんな訳でこれからも色々な物語を紡いでいけるよう頑張りますので、今後ともどうぞよろしくお願い致します。
 それではまた、別の世界でお会いしましょう。
 

葛来奈都